ムーンショット目標4
「2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現」

組織名

プロジェクト課題名
大気中CO2を利用可能な統合化固定・反応系(quad-C system)の開発
福島 康裕 image
プロジェクトマネージャー

福島 康裕

環境科学研究科・教授
学生時代、最先端の技術開発に打ち込む身の回りの研究者たちの研究成果が、どの程度将来の社会に役立つのかに興味を持つ。以来、化学に立脚する新規グリーン技術のプロセスシステム設計、技術経済性分析、シナリオ分析、ブレークイーブン分析による技術ターゲットの検討など技術アセスメントを専門として、国内外の実験グループとともに技術開発に取り組み、その社会実装への橋渡し役を担ってきた。1993年, 埼玉県立川越高校卒. 2002年, 東京大学より博士(工学)取得. 国立成功大(2004-2014, 台湾)で教鞭を取ったのち、2014より東北大学に所属.

プロジェクトの概要

二酸化炭素正味排出ゼロの世界の実現に向けて、エネルギーや化学製品の生産体系は大きな転換を求められています。原料に化石資源を使わず、太陽光や風力などの再生可能エネルギーのみを使用、炭素源としては植物資源、排気ガスや大気中のCO2、そして廃プラスチックや有機廃棄物などを主要な原料として利用する生産体系が必要です。CO2含有ガスを化学物質製造の炭素源として利用する際、従来の方法ではまず吸収液や吸着剤等でCO2を固定、次にエネルギーをかけて脱離、得られた高濃度CO2を反応基質と接触させて製品へと変換しています。本プロジェクトでは1)省エネのため脱離を廃し、CO2の固定と変換を直結して効率的な反応系(Combined Carbon Capture and Conversion system, quad-C system)を構築、さらに2)低濃度CO2の原料化(目標: ~400ppm = DAC化)への対応と、様々な原料ガスと製品への対応に取り組みます。

上記のコンセプトは、CO2を反応基質に吸収、または反応速度向上のための触媒や転化率向上のための脱水材などに吸着させ、そのCO2をそのまま反応に供することで実現できます。後者に用いる複機能材料(Dual Function Materials)では吸着状態を詳細に検討する必要があるため、最先端の分析機器を新たに設置、これらを駆使して分子レベルの動態の理解に基づいた反応プロセスの性能向上と、世界的に競争力を持つプロセスシステムの開発を目指しています。

システムの要素となる技術には、主役となる触媒に加えて、これまで主に高濃度CO2(10~40%)の除去に向けて開発されたCO2選択透過膜や、大気汚染物質の除去用に開発してきた層状複酸化物/水酸化物(Layered Double Oxide/Hydroxide, LDO/LDH)に着目しています。前者は高濃度でのCO2の透過量増加の困難さ、LDO/LDHはCO2が汚染物質と競争的に吸着し除去性能を損なう点が課題でしたが、本プロジェクトでは逆方向の設計指針で独自のプロセス技術を開拓、反応系への効率の良いCO2供給を実現します。さらに、スケールアップを目指してシステム開発を実施、パイロット試験を行い、システム全体を見渡すライフサイクルアセスメント(LCA)で炭素循環の観点から、また技術経済性分析で経済面からその性能を実証します。ライフサイクルアセスメントも、炭素完全循環社会の実現を前提とし、現状のデータベースに基づく計算のみにとらわれず、真に正味炭素排出ゼロに向けた体系の構築に資する技術要件を演繹的に導出し、技術を効率的に育てるための活用手法の構築をすすめています。

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このプロジェクトに関するお問い合わせ

info-quadc※grp.tohoku.ac.jp

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