ムーンショット目標4
「2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現」

組織名

プロジェクト課題名
資源循環の最適化による農地由来の温室効果ガスの排出削減
南澤 究 image
プロジェクトマネージャー

南澤 究

生命科学研究科・特任教授
食料生産に伴って、一酸化二窒素(N2O)やメタン(CH4)といったCO2以外の人為起源の温室効果ガスが発生しており、地球温暖化を防止する食料生産システムの改変が急務となっています。私はN2O還元活性を持った根粒菌や水稲根メタン酸化窒素固定細菌により、土壌からの温室効果ガスを削減できることを明らかにしてきました。そこで、土壌微生物の働きを利用して温室効果ガスを削減する「クールアース」の研究ハブとしてムーンショット事業で国内外の研究者と共同研究を実施しています。

プロジェクトの概要

本研究課題は、ムーンショット目標4「地球温暖化問題の解決(クールアース)および地球環境汚染の解決(クリーンアース)」への貢献を目指し、2030年までに、農地における温室効果ガスに係る循環技術を確立・実証し、2050年までに農地由来温室効果ガスの80%削減を実現することを目的とします。一酸化二窒素(N2O)はCO2の265倍の温室効果を持つ強力な温室効果ガスであり、人為的排出源の59%が農業由来です。また、水田はメタン(CH4)の排出源であり、世界の人為的CH4排出源の11%を排出しています。このように温室効果ガスを大量に排出している食料生産システムの改変が人類生存に必須の課題となっています。窒素循環に着目すると、自然の窒素循環系においては大気中の窒素ガスが微生物により固定され、アンモニア、硝酸に変化し、最終的には窒素ガスとして大気に戻ります。一方で、近代農業は化学窒素肥料の投入により食料増産を可能にした反面、農地からのN2O発生の問題を引き起こしました。そこで、本研究課題では土壌微生物の物質循環機能を活性化し、自然界の窒素の循環系を強力に回すことにより、目標の実現に貢献します。本課題では、これまでに取り組んできた根粒菌などのN2O無害化微生物とイネ根圏のCH4無害化微生物に関する研究を発展させ、これらの微生物の温室効果ガス削減能力を圃場レベルで最大化することを目指します。しかし、最大のボトルネックは、外部から接種した微生物は、複雑な団粒構造を持った土壌生態系の頑健性により排除されることです。そこで、最新の研究手法と若手研究者の異分野融合によって、土壌微生物の完全解明と植物・微生物系土壌の人工デザインの挑戦的な基盤研究を企画し、目標の実現を目指します。

プロジェクト ホームページ

南澤プロジェクト ホームページ

関連サイト

Cool Earth via dSOIL(微生物による地球冷却)
南澤研究室ホームページ
NEDOムーンショット型研究開発事業
NEDOホームページトップ

このプロジェクトに関するお問い合わせ

dsoil.moonshot※grp.tohoku.ac.jp

(※を@に変えてください)