ムーンショット目標2
「2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現」

組織名

プロジェクト課題名
恒常性の理解と制御による糖尿病および併発疾患の克服
片桐 秀樹 image
プロジェクトマネージャー

片桐 秀樹

医学系研究科・教授
糖尿病や肥満症などの代謝疾患を持つ患者さんの診療を行い、いつもヒトが「正常な代謝状態(恒常性)」を保つ仕組みの不思議さに魅了されています。ヒトを初めとする多臓器生物がどのように個体としての恒常性を維持しているのか、そのメカニズムとして「臓器間ネットワーク」の多くの例を発見し、その重要性を提唱してきました。これらの研究を発展させ、様々な状況に対応する動的恒常性維持の仕組みのさらなる解明を進めるとともに、この仕組みを人為的に制御することで、糖尿病や併発症に対する新たな予防・治療法の開発につなげることを目指しています。

プロジェクトの概要

本プロジェクトでは、超早期の糖代謝異常の進行を抑え、正常に復する予防・治療法の開発、さらに、非侵襲的に超早期の糖代謝異常者や併発症者を検出する手法の開発を目指します。そのため、以下の①~④の研究開発項目内、および研究開発項目間で密接に連携を取りながら研究を進めていきます。

① 臓器間ネットワークによる恒常性メカニズム解明と治療・診断法の開発
代謝や循環に関わる個体レベルでの恒常性を維持する臓器間ネットワーク機構の解明を進めます。特に、求心性経路の分子機構、中枢神経での統御機構、遠心性神経の活動実態、腸管を介した制御、液性因子による代謝関連主要臓器・組織の個体レベルでの制御機構について解明します。
② 糖尿病における多臓器変容メカニズムの解明と制御
糖尿病は多臓器の変容によっておこり、また、糖尿病になることで多臓器の変調をきたします。心・肝・脳・腎などの臓器や血管において、臓器の変容を機能・形態の両面から解析します。さらに、炎症細胞などの制御機構との関連やケトン体の投与効果などを検討し治療・診断標的を提案し、実証につなげる研究を促進します。
③ ヒトでの生体情報を簡便に取得する技術の開発とヒトデータ解析
糖尿病や併発疾患は、特に病初期は無症状のことが多いです。接触・非接触デバイスによる生体情報、ゲノム、呼気を用いた糖酸化レートの解析からできる限り簡便かつ非侵襲的に糖尿病や併発症の早期段階を検出・予測できる手法を開発し社会実装することを目指します。
④ 数理モデル解析による恒常性の理解とその応用
研究開発項目①、②の動物実験データ、研究開発項目①、②、③のヒト生体データを用いて、数理モデル解析を進め、重要要素の抽出による包括的な理解につなげます。

プロジェクト ホームページ

片桐プロジェクト ホームページ

研究成果等

〇【プレスリリース(2024.03.07)】中年太りの仕組みを解明 ~肥満による生活習慣病の画期的な予防・治療法へ大きな1歩~

〇【プレスリリース(2024.01.18)】アルドステロン産生腺腫の腫瘍内不均一性を単一核レベルで解明

〇【プレスリリース(2023.11.10)】神経の活性化によりインスリン産生細胞を再生 ‐マウス糖尿病の治療に成功‐

〇【プレスリリース(2023.09.19)】インスリン細胞の数を調節する新たな仕組みを解明 -増えた細胞が食べられて減ることで出産後の血糖値を正常に保つ‐

 

関連サイト

東北大学大学院医学系研究科 糖尿病代謝内科学分野
JSTムーンショット型研究開発事業
JSTホームページトップ

このプロジェクトに関するお問い合わせ

moonshot-katagiri※proj.med.tohoku.ac.jp

(※を@に変えてください)