【プレスリリース】世界初のミトコンドリア病治療薬「MA-5」の第Ⅱ相臨床試験を開始 -難聴を有するミトコンドリア病患者を対象-
阿部プロジェクトに関連する研究成果がプレスリリースされました。
【本学研究者情報】
〇大学院医学系研究科 病態液性制御学分野
大学院医工学研究科分子病態医工学分野
教授 阿部高明(PM)
【発表のポイント】
- 東北大学が開発した世界初のミトコンドリア病(注1)治療薬Mitochonic acid-5 (ミトコニック アシッド 5、以下MA-5)は、これまでの動物実験やヒトiPS細胞を用いた研究により、ミトコンドリア病ならびに各種難聴での有効性(注2)が確認されています。
- 難聴を有するミトコンドリア病患者を対象とするMA-5の医師主導第Ⅱ相臨床試験(注3)を、2025年12月から国内4医療機関で開始します。
- 本治験(注4)では、MA-5のミトコンドリア病と聴力に対する有効性、安全性(注5)および薬物動態(注6)を探索的に評価します。
- 本治験によって、MA-5が現在治療法のないミトコンドリア病の症状改善および難聴の治療薬開発につながる可能性があります。
【用語解説】
注1. ミトコンドリア病:生命活動に必要なエネルギーであるATPの約95%を産生するミトコンドリアの機能異常により引き起こされる疾患です。ミトコンドリアは全有核細胞に存在するために、脳、心臓、腎臓、膵臓など全身のあらゆる臓器に障害が起きます。
注2. 有効性:薬や治療法が期待される効果をどれだけ発揮するか。つまり、「その薬は本当に病気や症状を改善するのか」という治療効果の度合いのことです。
注3. 第Ⅱ相臨床試験:新しい薬や治療法を開発する過程で行われる臨床試験(治験)の段階の一つです。対象疾患の少数の患者さんを対象に、薬の有効性(効果があるか)、安全性、そして最適な投与量などを調べることを目的とします。
注4. 治験:新薬や新しい治療法が人間に対して安全で効果があるかを確かめるための臨床試験です。厳格な基準と手順に従い、段階的に実施され参加者の同意が必須です。得られたデータから有効性、安全性、適切な用量などを評価し、医薬品承認の根拠とします。治験は実験室の研究から実際の医療現場への橋渡しとなる、医療発展に不可欠な科学的検証プロセスです。
注5. 安全性:薬や治療法を使用した際に生じる可能性のある副作用やリスクがどの程度あるか。「その薬はどれくらい安全に使えるのか」という観点から評価される指標です。
注6. 薬物動態:薬が体内でどのように吸収され、分布し、代謝され、排泄されるかという過程です。簡単に言えば「薬が体内でどのように動くか」を示すもので、薬の効き方や効き目の持続時間などに関わる重要な情報です。
詳細は以下リンクをご参照ください。
プレスリリース詳細
阿部プロジェクト(ミトコンドリア先制医療)
blur_on2025.11.19
