【著者】Koki Yagihara, Hajime Ohno and Yasuhiro Fukushima
【要約】
燃焼後CO₂回収(PCC)が温室効果ガス(GHG)排出削減に果たす役割については広く研究されていますが、評価方法の違いにより、PCCのGHG排出削減効果に関連する研究間で一貫した比較が困難となっています。本研究では、システム境界および機能単位を体系的に整理で、化石燃料火力発電所からのGHG排出を分析しました。本研究では、過去の研究例をもとに発電量基準と回収CO₂基準の2種類を設定しました。
発電量基準では、PCCの導入により、ベンチマークケースと比較して原料採取から製品出荷まで(cradle-to-gate)のGHG排出量が約50%削減され、電力システム全体における削減ポテンシャルが明確となりました。
一方、回収CO₂基準では、直接CO₂排出を含むPCCに直接的に関連する(gate-to-gate)GHG評価において、CO₂回収率を90%とした場合でも、CO₂回収に伴う追加的なユーティリティ消費のため、GHG排出削減率は70%に達しないことが示されました。さらに、cradle-to-gate評価により、CO₂回収とエネルギー転換との関係が明らかになりました。特に、電力が脱炭素化されたシナリオにおいては、液化天然ガス(LNG)火力発電とPCCを組み合わせたシステムは、LNG供給に伴う不可避な間接排出の影響により、他のシステムよりもcradle-to-gateのGHG排出量が大きくなり、0.68 kg-CO₂排出/kg-CO₂回収となりました。本研究は、PCCの評価において適切なシステム境界および評価指標の重要性を強調するとともに、カーボンニュートラル実現に向けたCO₂排出削減技術の一貫した評価に資する指針を提示するものと位置づけられます。