【著者】Shogo Miyazaki, Hajime Ohno, Koki Yagihara, Tsai-Wei Wu, Yasuhiro Fukushima
【要約】
本研究では、従来のリサイクル方法に代わる選択肢として、可塑剤製造プロセスの温室効果ガス(GHG)排出削減効果を評価しました。このプロセスでは、ポリエチレンテレフタレート(PET)を2-エチル-1-ヘキサノール(EH)を用いて非フタル酸系可塑剤であるテレフタル酸ジオクチル(dioctyl terephthalate)に化学的にリサイクルするプロセスを提案し、GHG排出量分析を行い、本プロセスの有用性を検証しました。この手法はオープンループ型のリサイクル経路と呼ばれ、従来のPETを再生利用する経路とは異なるものです。
プロセスシミュレーションに基づくライフサイクル評価(LCA)により、原料採取から製品出荷までのGHG排出量を定量化し、グリコリシス法、メタノリシス法、酵素加水分解法と比較した。その結果、この可塑剤プロセスは処理されたPETフレーク1トンあたり−0.88 t-CO2-eqのGHG排出量を達成し、従来法に比べてGHG排出量の削減をできることを示しました。さらに2023年の日本におけるPETのマテリアルフロー解析では、この可塑剤プロセスを単独またはグリコリシス法と組み合わせて導入することで、年間最大0.98 Mt-CO2-eqのGHG排出削減が可能であり、同時に国内の可塑剤供給の一助となることが明らかになりました。また、複数カテゴリーのLCAでは、この可塑剤プロセスが資源枯渇の削減に最も大きく貢献することが示された。一方で、ヒトの発がん毒性、水生生態毒性、陸域生態毒性の点では高い環境負荷を示しました。以上の結果から、この可塑剤プロセスはクローズドループ型の手法を補完し、持続可能な物質循環を支える有望なオープンループリサイクル経路であることが示唆されました。
本論文の功績は高く評され、ACS Sustainable Chemistry & Engineering Vol 13/Issue 37のCover Pictureにも選出されました。
