【題目】Comparative analysis of CO2-based alternative pathways for diphenyl carbonate production
【著者】Tsai-Wei Wu, Hajime Ohno, Anqing Wang, Alexander Guzman-Urbina, Yousuke Shinkai, Hiroki Furuhashi, Ryotaro Umezu, Shiang-Tai Lin, Yasuhiro Fukushima
【要約】
CO₂をジアルキルカーボネート(DRC)へ変換することは、CO₂排出の削減に向けた有望な戦略とされています。特に、副生成物である水(H₂O)を除去する脱水工程と組み合わせることで、その効果がさらに高まります。DRCはさまざまな反応における中間体として利用されてきましたが、CO₂由来のDRCを通じたネットCO₂排出削減の広範な意義については、十分に検討されていないのが現状です。
本研究では、ポリカーボネート(PC)合成における主要モノマーであるジフェニルカーボネート(DPC)の製造プロセスに着目し、PCのサプライチェーンにより環境負荷の少ない原料を導入することによる環境上の利点を評価いたしました。従来のDPC合成法であるホスゲン法をベンチマークとして、ジメチルカーボネート(DMC)からジブチルカーボネート(DBuC)までのDRCを検討対象といたしました。
原料調達から製品出荷まで(cradle-to-gate)を対象としたCO₂排出量分析の結果、C3ルート(CO₂→DPrC→DPC)はホスゲン法と比較して最大15%の排出削減効果を示しました。一方、経済性の評価においては、ホスゲン法によるDPCの最小販売価格がC3ルートよりも18%低いという結果が得られました。また、システム境界を広く設定して評価を行った結果、包括的な環境評価の重要性が強調されました。
本研究は、環境性能と経済性の間に存在するトレードオフに対する新たな視点を提供するとともに、低炭素・非ホスゲン型DPC製造プロセスの改善に向けた具体的な戦略を提示しています。