専修紹介と履修モデル (2023年度)

(東北大学文学部『学生便覧』(2023年度版) pp. 42-43)

 現代日本学専修は、「学際化」と「国際化」を2本の柱として、従来の日本研究では見過ごされてきた「日本」の実像を新たな視点から再構成することを目指しています。
 ひとつの柱は「学際化」です。学問的な知識は、細かくわかれた専門分野での緻密な研究を進めることで蓄積されてきました。しかしそうすると、分野の枠をこえて研究成果を共有したり共同して新しい分野を開拓するといったことがおこなわれにくくなり、かえって視野を狭めてしまう場合があります。そこで、分野の垣根を意識的に取り払って柔軟な発想で研究する、学際的な発想が要求されるようになっています。
 現代日本学専修の教員の研究内容は多様で、日本近代の歴史を「グローバルヒストリー」の観点から再評価する、日本社会を「ジェンダー」の観点から分析する、「メディア」「表象」の観点から近代文化史を読み直す、など、さまざまな研究対象にさまざまな角度から挑んでいます。学生が取り組むテーマも、過去の時代の風俗、現代の社会問題、伝統的な文芸作品、ポップカルチャー、宗教、思想など多岐にわたります。学生の皆さんには、教員とともに、新たな学問創出に取り組んでもらいたいと希望します。
 そのためには、魅力的な研究対象を見つけること、その対象をあつかうための方法 (資料やデータの集めかたや分析の仕方、具体的な知見を抽象化・一般化していくための概念や理論など) を身に付けること、他者とのコミュニケーションを通して自分の思考を確かなものにしていくことが必要になります。これは皆さんが自分自身で主体的に取り組んでいくものですが、専修全体として、多様な学問に取り組むメンバーが自由な議論を活発に展開できる研究コミュニティとしての機能を果たすように考えています。また、学生自身の関心に基づいて他分野の授業を履修することを推奨するとともに、2人以上の教員による個別指導の機会を多くとっています。こうして身に付けた知識と方法を土台として、卒業論文を執筆することになります。
 もうひとつの柱は「国際化」です。複雑化するとともにグローバル化を進めていく社会の様相について深く知るには、空間的に視野を広げ、国際的な視点を持つことが必要です。過去の歴史を取り上げる際も、特定の国家の歴史に現れる人物や出来事ばかりではなく、国境を超えて展開する環境、帝国、震災、移民などのテーマが注目を集めています。また、実際の研究の進めかたとしても、海外の学者たちと共同して研究の理論や技法を開発する傾向が顕著になっています。こうした国際的な日本研究のためには海外から「日本」を見る視点との往還が不可欠であるという考えの下、海外留学や留学生との交流を学生時代の経験の柱とする教育指導をおこないます。広い世界の中で自己を見つめ直し、変貌する学問の魅力を体得する学生の輪に加わってください。

東北大学文学部 現代日本学専修「履修モデル」

1年次 (34~48単位)

●人文社会総論 4単位
●人文社会序論 (現代日本学入門) 2単位
●英語原書講読入門 2単位
●その他 (全学教育、基礎専門科目入門) 26~40単位

2年次 (34~48単位)

●現代日本学概論 4単位
●現代日本学基礎講読 4単位
●日本思想史概論、日本語教育学概論、日本文学概論、日本史概論、文化人類学概論、東洋・日本美術史概論、社会学概論 から 4単位
●その他 20~36単位

3年次 (34~48単位)

●現代日本学各論 6単位
●現代日本学演習 8単位
●現代日本学講読 2単位
●日本思想史各論、日本語教育学各論、日本文学各論、日本史各論、文化人類学各論、東洋・日本美術史各論、社会学各論 から 8単位
●その他 8~24単位

4年次 (34~48単位)

●卒業論文・卒業研究 12単位
●現代日本学各論 4単位
●現代日本学演習 4単位
●その他 12~28単位

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